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動物性脂肪の摂りすぎに注意!

全国保険医団体連合会が発行している「月刊保団連」という雑誌があります。
最近、面白い記事が増えてきたように思うのですが、その中でも特に興味を惹かれたものをご紹介していきたいと思います。

 

今回は、2020年1月号の特集 「STOP!医者の不養生」 の中の

「わかっちゃいるけど、やめられない・・・ 食と行動の科学」(p10~15)をご紹介します。

(著者:琉球大学内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座教授 益崎裕章先生)

 

・動物性脂肪の習慣的な過剰摂取が、脳機能や膵島機能、腸内フローラのバランスや機能を深刻に障害することが知られている。
 ◎運動欲求の低下  ◎過食  ◎動物性脂肪依存  ◎細胞老化  ◎血管病
 ◎糖尿病

 

・動物性脂肪に対する依存と麻薬・アルコール・タバコ(ニコチン)などに対する依存の脳内メカニズムにおける共通点が注目されている。
      ↓
"コカインやヘロインなどの麻薬依存ラットと同様、動物性脂肪に対する依存に陥ったラットでは過食に伴う満足感を感じにくくなっており、もっと脂を、もっと脂を、と脂肪を渇望する脳に変わってしまっている。"


・玄米は「天然の完全食」と呼ばれ、食物繊維やビタミンB群、微量元素、多彩な有効成分を豊富に含有している。


・玄米の中にだけ高濃度に含有されるγーオリザノールは、視床下部と報酬系という脳の中の2つのシステムに効果的に働いて、動物性脂肪依存を緩和する極めてユニークな作用特性を持っている。

 

 

この記事で著者が訴えたい内容をまとめると、

★動物性脂肪を多く含有する食品、すなわち、肉類(牛、豚、羊など)、卵、バター、ラード、乳脂肪の含まれる牛乳、チーズ、アイスクリーム、洋菓子などの過剰摂取は体に良くないので避けること! 

       ↓

 しかし、動物性脂肪依存が生じるためなかなか止められないかもしれない・・・

       ↓

★玄米は栄養面でとても優れた食品であり、さらには動物性脂肪への依存を減らすという作用も持っているので、ぜひ摂るようにして欲しい!

 

 

<感想>

昨今、麻薬、アルコール、タバコ、ギャンブル、スマホ、などの「依存」が社会問題となっていますが、動物性脂肪に関しても「依存」があるということを念頭におき食生活を送る必要がありそうです。

 

この記事を読んで、以下のことを意識した食生活を送りたいと思います!

 ・肉類を食べ過ぎない(魚を適度に摂る)

 ・午後10時以降は間食をしない

 ・玄米を精米するときに、5分づきから2分づきに変更(笑)

2020年01月27日

「頭のよい子にそだてるために 3歳から15歳のあいだに 今すぐ絶対やるべきこと」

 

脳トレで有名な 川島隆太先生 の本を紹介します。

子どもにとってどのような習慣が脳によいと考えられるかを、数々のデータを読み解きながら解説していく形となっています。

参考文献が載っていないこともあり、書いてある内容が本当に正しいかどうかの吟味は難しいのですが、少なくとも実行して悪くないだろうと思われる習慣が挙げられており、家庭内でのルールを作る上で参考になると思います。

 

 

1.「米+おかず」の朝ご飯を食べる

・朝食を毎日摂る子どもたちは、朝食を抜く子どもたちと比べ、運動能力・学力がともに高かった。

・主食にパンを食べている子どものほうが、お米を食べている子どもよりも脳の発達が悪い(灰白質の体積が小さい)。

・「主食だけ」の朝食だと、脳が発揮できるパフォーマンスは、朝ご飯を食べていないのとあまり変わらなかった。

・朝ご飯のおかずの品目数と認知機能検査の成績には、「おかずの数が多いほど発達指数は高く、少ないほど低い」という関係があった。

・子どもの時の朝食習慣は、大学入試、就職、年収にも影響する。

・WHOによる成人の幸福度調査では、日本人は欧州の国々と比べて幸福度が低いことがわかっているが、日本人の中でも「朝食を毎日食べる」人はフランスやドイツの人ともあまり差がないくらい幸福度が高い。

・朝食を抜くと肥満につながる。肥満の子どもは海馬(脳の中の記憶を司る部位)の体積が小さい。

 

2.朝食は親子で一緒にとる

・子どもの学力に最も影響するのは「積極的に学ぶ態度」である(子ども自身が興味関心を持ち、好奇心を感じるときに、学力は伸びる)。「義務感」や「やらされ感」では子どもの学習態度は変わらない。

・子どもの意欲を引き出すために最も強い影響をもたらしていたのは、朝ご飯だった。

(親子で一緒に朝食をとる方がそうでない場合より優る、というデータは提示されていないので、この習慣は著者の個人的な意見でしょうか。)

 

3.スマホは1日1時間以内を厳守する

・スマホは、使う時間が長いほど成績が下がる。

・スマホという形態に限らず、インターネットを利用している時間が長ければ長いほど、子どもたちの成績は下がる。

・子どもがスマホを使うと、学校で勉強したことが頭の中から消えてしまう。

・LINE等の使用時間は、直接的に学力を下げる効果が強い。

・スマホを使うことで学習効果が消えるのは、前頭前野の働きに抑制がかかることが主な理由の1つではないか。

 

4.脳を硬直させるテレビとゲームを遠ざける

・テレビ視聴中、主に働いているのは後頭葉と側頭葉(視覚と聴覚)であり、ものを考える際に働く前頭前野の血流は低下している。スマホを使っているときと同様、抑制がかかり、リラックスした状態になっている。

・大人の場合、テレビを視聴する時間が長い高齢者ほど認知機能が低いことが明らかになっている。

・テレビを長時間見ているとアルツハイマー型認知症になるリスクが高まる。

・子どもの場合、テレビを視聴する時間が長いほど、言語性知能指数の発達が悪くなる。

・ゲーム中は前頭前野に強い抑制がかかる。ゲーム後に課題を行うと、前頭前野の働きは落ちたままであった。

 

5.親子で「脳トレ遊び」&「料理」をする

・「1日10分」や「週1回」の親子の触れ合いの時間を作るだけで、子どもたちの精神は安定し、親子関係はよりよい方向に向かう。
「・

・親子で職に関する触れ合いの経験がある層は、そういった経験がない層に比べて、幸福感が高かった。

 

6.幼児期は読み聞かせ、小学校から音読

 

7.モノのごほうびはNG! 言葉で速攻ほめる

 

8.脳は寝て育てる

・早寝、早起きができていて睡眠時間をきちんと確保できている子どもたちは、さまざまな面で能力が高い。

・成長ホルモンは夜10時ころからよく分泌される。それより遅い時間だと、分泌量ががくんと減ってしまう。

 

9.外遊びで育てる

・運動の習慣は、子どもの認知機能(特に実行機能)を向上させる。

 

 

 

日常生活の簡単な工夫で、子どもの学力・運動能力が伸びる可能性があるということですね。

 

 ・朝食(ごはん+おかず)を食べる

 ・スマホ、インターネット、テレビ、ゲームの時間を制限する

 ・早く寝て睡眠時間をしっかりと確保する

特にこの3つは、疲れた「脳」を癒やすため、そして将来の認知症の予防のために、大人も実行してみる価値があると思います。

 

2020年02月08日

訪問歯科の役割とは

「医療と介護 Next」という隔月刊誌があります。

残念ながら、2019年6月で休刊となってしまいましたが、最終刊の中の連載記事で訪問歯科に関する面白い記事がありましたのでご紹介します。

 

 「歯医者が街に出てみたら 第18回 歯科の本音」

ふれあい歯科ごとう(新宿区)の五島朋幸先生の連載記事です。
訪問歯科診療に20年以上携わっている先生で、連載最後のこの記事では訪問歯科の役割について説明されています。

 

 

・現在、訪問歯科診療の役割は大きく3つに分類される。

  1.入れ歯の調節をはじめとする一般の歯科診療

  2.口腔ケア

  3.摂食嚥下障害への対応

 

・訪問歯科における口腔ケアの目的は「口の中をきれいにすること」ではなく、「口腔ケアができる環境作りをすること」。

 訪問歯科の時だけ口腔ケアをやっても成果は期待できない。

 日常の口腔ケアの体制作りを行う必要がある。

 

・普段から「口腔ケアができる環境」が整った後に、訪問歯科の摂食嚥下障害への対応がある。

 食事環境(机や椅子、食事の姿勢、皿や箸などの食具、食形態、口の環境)が整っていない中での機能の評価は決して正確ではない。

 

 

単に口の中をきれいにしてほしいから、あるいはすぐに嚥下の状態を良くしほしいから訪問歯科を依頼する、のではないということです。

家族、訪問看護師、訪問介護士による日常的な口腔ケアの体制を作り、そこから摂食嚥下機能の維持・改善を目指す。訪問歯科を依頼する側も依頼される側も、このことをしっかり理解してほしいという五島先生の熱い思いを感じました。

2020年02月22日

「科学的認知症診療 5 Lessons」 のLesson 1 (1)



著者:小田陽彦(兵庫県立ひょうごこころの医療センター精神科医師)

発行:2018年10月9日

 

一般臨床医向けに書かれた認知症のテキストです。

非常に充実した内容であり、まえがきやあとがきからは認知症診療を向上させたいと願う著者の思いが伝わってきます。

 

(まえがき より)

本書には、認知症の人に当たり前の医療を普及させたいとの思いを込めました。

(あとがき より)

認知症治療はしばしば難しいですが、難しくさせている原因の1つは医療者側の知識不足であり、ある当事者の言葉を借りるならば「人災」という側面もあることは否定できないと思います。

 

本書の構成ですが、1.認知症診断の原理原則、2.画像診断の意義と限界、3.抗認知症薬、4.精神症状への対応、5.医療者ができること、と5項目に分けて解説されています。

それぞれの項目について、医療従事者でない方にもわかりやすいようにご紹介していきたいと思います。

 

Lesson1 認知症診断の原則(P1~P42)

1.認知症という疾患は存在しない

・認知症をきたす病気は多数あり、アルツハイマー病はそれらのうちの1つに過ぎない。

・抗認知症薬の効果が実証されているのは、アルツハイマー病とレビー小体型認知症のみであり、それ以外の疾患では効果が期待できなかったり副作用によりかえって悪化することがある。

・物忘れという症状に薬を出す前に、まずは診断することが重要。

 

2.認知症診断は除外診断

・「認知症もどき」の除外診断を最初に行うことが重要。

   正常範囲の記憶力

   軽度認知障害

   せん妄、うつ病

   てんかん

   薬剤起因性老年症候群(薬剤により認知機能低下などをきたした状態)

   認知機能低下をきたす内科疾患・脳外科疾患

・除外診断のために、病歴、身体所見、心理検査、血液検査、頭部画像検査(CTまたはMRI)が必要。

・「軽度認知障害」を診断する必要があるかどうかは疑問。軽度認知障害の段階で抗認知症薬を使った場合、効果はプラセボ(偽薬)と差はなく、その割に悪心・下痢・嘔吐などの副作用はプラセボよりも多く発現するという科学的根拠が示されている(CMAJ.2013;185(16):1393-401)。

・除外診断を行った後に、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症などの鑑別を行っていく。

 

認知症症状の患者さんを診るときに、安易にアルツハイマー病と考えずに、治る可能性がある状態や疾患でないかどうかを確認することが大事であるということです。

認知機能低下をきたす内科疾患・脳外科疾患(treatable dementia)の代表的なものとしては、甲状腺機能低下症、ビタミン(B1やB12)欠乏症、特発性正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫などが挙げられます。

詳しい鑑別に関しては、国立国際医療研究センター膠原病科のサイトを参照してください。

2020年02月28日

「科学的認知症診療 5 Lessons」 のLesson 1 (2)


 

薬を服用することにより、ふらつき、食欲低下、失禁、認知機能低下などが誘発された状態を「薬剤起因性老年症候群」と呼びます。

高齢者におけるポリファーマシー(薬の飲み過ぎ)は、気がつかないうちに「薬剤起因性老年症候群」を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

日本老年医学会のホームページに、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」と「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」が公開されています。高齢者医療に携わる医療従事者は一度は目を通しておくべきでしょう。

 

Lesson1 認知症診断の原則(P1~P42)
3.薬剤起因性老年症候群(P15~P20)

第一世代抗ヒスタミン薬

・第一世代抗ヒスタミン薬は強力な抗コリン作用があり、意識障害、口渇、便秘などの危険があるため、65歳以上の患者さんには使用回避するようピアーズ基準(米国老年医学会が公開)で推奨されている。

・65歳以上の人で急に物忘れや不穏や幻覚体験が出現した場合は、総合感冒薬(PL顆粒やピーエイ錠など)が処方されていないかどうかを必ず確認する必要がある。

・ドラッグストアで販売されている総合感冒薬の中にもたいてい第一世代抗ヒスタミン薬が含まれているので、お薬手帳だけでなくそれらを買っていないかどうかも確認すること。

 

三環系抗うつ薬とパロキセチン

・三環系抗うつ薬は抗コリン作用が強いので、75歳以上の人には可能な限り使用を控えるよう推奨されている(日本老年医学会)。

・パロキセチン(選択的セロトニン再取り込み阻害薬の一種)も抗コリン作用が強い(ピアーズ基準)。

 

抗コリン作用のあるパーキンソン病治療薬

・①抗精神病薬による錐体外路症状の防止には役立たない、②パーキンソン病治療のためにはより効果的な薬が使用可能、という理由により、トリヘキシフェニジル(アーテン)やビペリデン(アキネトン)などの抗コリン薬は65歳以上には使用しない方がよい。

 

抗コリン作用のある過活動膀胱治療薬

・過活動膀胱治療薬の一部は抗コリン薬であり、尿閉、認知機能低下、せん妄の危険がある。

(ポラキス、トビエース、ブラダロン、ベシケア、デトルシトール、など)

・過活動膀胱に対してあまり効いていない、あるいは効果がわからないということであれば中止が妥当。

 

H2遮断薬

・シメチジン(タガメット)、ファモチジン(ガスター)、ラニチジン(ザンタック)などの全てのH2遮断薬は認知機能低下とせん妄の危険があるので、高齢者には可能な限り使用を控えるよう推奨されている。

 

ベンドジアゼピン受容体作動薬

・ゾルピデム(マイスリー)、ゾピクロン(アモバン)、エスゾピクロン(ルネスタ)は、「非ベンゾジアゾピン系睡眠薬」と称されることもあるが、実際はベンゾジアゼピン受容体作動薬そのものである。

・ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、常用量でも依存の危険がある。ジアゼパム(セルシン)は投与開始2週間~4ヶ月で依存が形成されると推測されている。

・イギリスでは、漸減期間を含めて4週間までの処方に制限されている。フランスでは、不眠治療に使うときは4週間まで、不安治療に使うときには12週間までの処方に制限されている。

・一般臨床医が在宅でベンドジアゼピン受容体作動薬を使うべ機会はほとんど存在しない。

・中止による離脱症状(禁断症状)として不安、焦燥、うつ、集中困難、いらいら、不眠、筋肉痛、けいれん、ぴくつき、知覚過敏が出現することがある。

 

認知症性疾患が疑われた際は、認知症性疾患と診断する前に必ず上記の医薬品の使用歴を確認し、使用している場合は中止を検討する。中止できない場合は認知症性疾患と診断するのを保留する。診断保留のまま抗認知症薬を上乗せしてはいけない。




過活動膀胱の薬や胃薬(ガスターなどのH2遮断薬)は、ついつい簡単に処方してしまいますが、患者さんの年齢や使用期間を常に意識しておく必要があるようですね。

 

総合感冒薬に関しては、風邪(急性上気道炎)を早く治す効果はありませんので、年齢にかかわらず服用しないほうがよいと思います。

 

特別養護老人ホームに入居している患者さんは、向精神薬が処方に含まれていることが多いのですが、その中でもベンゾジアゼピン受容体作動薬の頻度が高いように思います。認知症がある高齢者にそういう薬剤を使用している現状を、私たち医療従事者はもっと深刻に受け止め反省をしないといけません。

2020年02月29日