「医療と介護 Next」という隔月刊誌があります。
残念ながら、2019年6月で休刊となってしまいましたが、最終刊の中の連載記事で訪問歯科に関する面白い記事がありましたのでご紹介します。
「歯医者が街に出てみたら 第18回 歯科の本音」
ふれあい歯科ごとう(新宿区)の五島朋幸先生の連載記事です。
訪問歯科診療に20年以上携わっている先生で、連載最後のこの記事では訪問歯科の役割について説明されています。
・現在、訪問歯科診療の役割は大きく3つに分類される。
1.入れ歯の調節をはじめとする一般の歯科診療
2.口腔ケア
3.摂食嚥下障害への対応
・訪問歯科における口腔ケアの目的は「口の中をきれいにすること」ではなく、「口腔ケアができる環境作りをすること」。
訪問歯科の時だけ口腔ケアをやっても成果は期待できない。
日常の口腔ケアの体制作りを行う必要がある。
・普段から「口腔ケアができる環境」が整った後に、訪問歯科の摂食嚥下障害への対応がある。
食事環境(机や椅子、食事の姿勢、皿や箸などの食具、食形態、口の環境)が整っていない中での機能の評価は決して正確ではない。
単に口の中をきれいにしてほしいから、あるいはすぐに嚥下の状態を良くしほしいから訪問歯科を依頼する、のではないということです。
家族、訪問看護師、訪問介護士による日常的な口腔ケアの体制を作り、そこから摂食嚥下機能の維持・改善を目指す。訪問歯科を依頼する側も依頼される側も、このことをしっかり理解してほしいという五島先生の熱い思いを感じました。