脳トレで有名な 川島隆太先生 の本を紹介します。
子どもにとってどのような習慣が脳によいと考えられるかを、数々のデータを読み解きながら解説していく形となっています。
参考文献が載っていないこともあり、書いてある内容が本当に正しいかどうかの吟味は難しいのですが、少なくとも実行して悪くないだろうと思われる習慣が挙げられており、家庭内でのルールを作る上で参考になると思います。
1.「米+おかず」の朝ご飯を食べる
・朝食を毎日摂る子どもたちは、朝食を抜く子どもたちと比べ、運動能力・学力がともに高かった。
・主食にパンを食べている子どものほうが、お米を食べている子どもよりも脳の発達が悪い(灰白質の体積が小さい)。
・「主食だけ」の朝食だと、脳が発揮できるパフォーマンスは、朝ご飯を食べていないのとあまり変わらなかった。
・朝ご飯のおかずの品目数と認知機能検査の成績には、「おかずの数が多いほど発達指数は高く、少ないほど低い」という関係があった。
・子どもの時の朝食習慣は、大学入試、就職、年収にも影響する。
・WHOによる成人の幸福度調査では、日本人は欧州の国々と比べて幸福度が低いことがわかっているが、日本人の中でも「朝食を毎日食べる」人はフランスやドイツの人ともあまり差がないくらい幸福度が高い。
・朝食を抜くと肥満につながる。肥満の子どもは海馬(脳の中の記憶を司る部位)の体積が小さい。
2.朝食は親子で一緒にとる
・子どもの学力に最も影響するのは「積極的に学ぶ態度」である(子ども自身が興味関心を持ち、好奇心を感じるときに、学力は伸びる)。「義務感」や「やらされ感」では子どもの学習態度は変わらない。
・子どもの意欲を引き出すために最も強い影響をもたらしていたのは、朝ご飯だった。
(親子で一緒に朝食をとる方がそうでない場合より優る、というデータは提示されていないので、この習慣は著者の個人的な意見でしょうか。)
3.スマホは1日1時間以内を厳守する
・スマホは、使う時間が長いほど成績が下がる。
・スマホという形態に限らず、インターネットを利用している時間が長ければ長いほど、子どもたちの成績は下がる。
・子どもがスマホを使うと、学校で勉強したことが頭の中から消えてしまう。
・LINE等の使用時間は、直接的に学力を下げる効果が強い。
・スマホを使うことで学習効果が消えるのは、前頭前野の働きに抑制がかかることが主な理由の1つではないか。
4.脳を硬直させるテレビとゲームを遠ざける
・テレビ視聴中、主に働いているのは後頭葉と側頭葉(視覚と聴覚)であり、ものを考える際に働く前頭前野の血流は低下している。スマホを使っているときと同様、抑制がかかり、リラックスした状態になっている。
・大人の場合、テレビを視聴する時間が長い高齢者ほど認知機能が低いことが明らかになっている。
・テレビを長時間見ているとアルツハイマー型認知症になるリスクが高まる。
・子どもの場合、テレビを視聴する時間が長いほど、言語性知能指数の発達が悪くなる。
・ゲーム中は前頭前野に強い抑制がかかる。ゲーム後に課題を行うと、前頭前野の働きは落ちたままであった。
5.親子で「脳トレ遊び」&「料理」をする
・「1日10分」や「週1回」の親子の触れ合いの時間を作るだけで、子どもたちの精神は安定し、親子関係はよりよい方向に向かう。
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・親子で職に関する触れ合いの経験がある層は、そういった経験がない層に比べて、幸福感が高かった。
6.幼児期は読み聞かせ、小学校から音読
7.モノのごほうびはNG! 言葉で速攻ほめる
8.脳は寝て育てる
・早寝、早起きができていて睡眠時間をきちんと確保できている子どもたちは、さまざまな面で能力が高い。
・成長ホルモンは夜10時ころからよく分泌される。それより遅い時間だと、分泌量ががくんと減ってしまう。
9.外遊びで育てる
・運動の習慣は、子どもの認知機能(特に実行機能)を向上させる。
日常生活の簡単な工夫で、子どもの学力・運動能力が伸びる可能性があるということですね。
・朝食(ごはん+おかず)を食べる
・スマホ、インターネット、テレビ、ゲームの時間を制限する
・早く寝て睡眠時間をしっかりと確保する
特にこの3つは、疲れた「脳」を癒やすため、そして将来の認知症の予防のために、大人も実行してみる価値があると思います。